急に子供の肌がカサつきだす秋。どんなケアをしてあげるのが正解?

子供の肌トラブル

秋の深まりとともに、朝起きた時にのどの渇きを感じたり、肌の乾燥が気になりはじめます。さらに木枯らしが吹きはじめると、外遊びから戻った子供たちの肌がカサつきはじめ、気づけば白く粉が吹いたようになっていることも…。そのようなカサつきをかゆみや肌荒れといったトラブルに発展させないためには、どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。

カサカサ肌を、アトピー性皮膚炎に進ませないために

衣食住の中でのさまざまな原因の複合によって、アトピー性皮膚炎の因子を持って生まれてくるお子さんが増えている現代。空気が乾燥するとともに衣服との摩擦によって静電気が起こるなど、肌のカサカサが悪化してかゆみや炎症を伴うアトピー性皮膚炎になってしまわないようにするには、やはり保湿ケアが非常に重要です。生まれた直後から半年くらいは、肌を取り巻く環境が大きく変わります。この時期に保湿ケアをしっかりしてあげることで、両親や兄弟にアトピー性皮膚炎の因子がある場合でも、発症率を30%ほど防ぐことができたという論文報告もあります。

もちろん、アトピー性皮膚炎の兆候がとくにない場合も、保湿ケアは肌にもともと備わっているバリア機能そのものを高めるのに役立ちます。カサカサするからなにか保湿剤を塗ってとりあえず表面を落ち着かせる、という対症療法的なケアで終わらないことが、最近の研究ではわかってきました。保湿ケアをすることで、正常な角質層をつくるための肌の機能や、水分を保って逃がさないようにする水分保持能そのものが高まっていくのです。

子供の肌を保湿するのに適しているのはどんな保湿剤?

子供に限らずですが、実はバリア機能の働きを高めるために塗る保湿剤は、どんなものでもOK というわけではありません。秋冬に子供の肌がカサカサすると「無難なのは、やっぱりワセリン?」といった感じで、油分の類を補おうとする方が多いようです。確かにワセリンは肌表面の壊れてしまったバリア機能の代わりとなって刺激の侵入を防いでくれます。しかし、肌を覆っている間に角質層の内側からバリア機能そのものを回復してくれるような保湿剤ではないため、衣服の摩擦やお風呂などでワセリンが流れ落ちてしまったら、すぐに肌はカサカサとした状態に戻ってしまいます。

角質細胞に水を届けた上で、表面を油分で覆いましょう

壊れたバリア機能を回復する保湿剤として望ましいのは、”水を抱きかかえる”働きをも持った成分です。有名なところでは。かかとのガサガサをケアするクリームなどに配合されていることで知られる「尿素」であったり、やはり子供の肌におすすめできるのは、長年に渡って用いられてきた低刺激で安全性の高い「グリセリン」などです。グリセリンが配合されたローションやクリーム、ゲルなどで保湿ケアをすると、刺激の侵入を防ぐと同時に、角質細胞の内部に入って水分を保持してくれます。そのため、衣服の摩擦によって、あるいはお風呂に入って一時的に保湿剤が落ちたとしても、すぐに肌がカサカサとした状態に戻りにくくなります。つまり絶やさず保湿ケアをすれば、少しずつ肌のバリア機能が改善されていき、カサカサ肌から脱出できるというわけです。

本当にバリア機能が弱っている場合には、こういったバリア機能を高めてくれる保湿剤を塗った上で、バリア機能の働きを補うワセリンのような油分で覆うことをおすすめします。最近では、ワセリンを使わずとも、水を抱え込むと同時に保護膜をつくってバリア機能を助けてくれる、生体親和性の高い成分「リピジュア」なども、アトピー性皮膚炎に悩む肌におすすめできる保湿成分として注目されています。

かゆみの神経が伸びてくるのを、保湿ケアで未然に防ぐ!

肌が乾燥していると「肌のこのあたりに問題が起きているよ」ということを知らせるために”かゆみの神経”が肌表面のほうに伸びてきます。そうなると、ムズムズとした部分を知らずのうちに掻いてしまいますよね。「掻き壊す」という言い方もあるように、掻くというのは、何よりも肌のバリア機能を壊してしまう行為です。肌がカサつく→掻く→バリア機能が壊れてよりカサカサする→そこから何か異物が侵入→アレルギー症状が発生→アトピー性皮膚炎という流れが起こることも大いにありえます。

保湿ケアをしてあげることは、肌のバリア機能そのものを高めるとともに、かゆみの発生を未然に抑えるという点からも重要性が増してきています。できれば、お子さまの肌のカサつきが目立ってくるその前から、保湿ケアをしてあげるくらいでちょうど良いと思います。

次回は、お子さまの肌の乾燥を進行させる、季節的な要因とは別のもう1つの物理的要因”洗う”というところでよく頂くご質問にお答えしたいと思います。


Profile
茂田正和
スキンケアアドバイザー・化粧品開発者・日本皮膚科学会正会員
日東電化工業ヘルスケア事業部にて開発責任者を務めるほか、バランスケアアソシエーションを主宰する。皮膚科医、ヘアメイクアップアーティスト、美容ライター、料理研究家とともに真の美容のためのライフスタイルを提案するセミナーやワークショップを運営。

コメントを残す

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る