子供のカサカサ肌を食い止める! “洗うこと”にまつわるQ&A

子供のカサカサ肌対策とは

子供の肌がカサついてきた時、すぐにできる対策は2つです。1つは、コラム第9回でお伝えしたような、角質層に水分を抱え込む保湿をしてあげること。そしてもう1つが、”洗うこと”の負担をできるだけ最小限にすることです。いくら保湿をしてあげても、角質層へのダメージが大きい”洗う”というプロセスをきちんと見直さないことには、なかなかカサカサ肌から脱出できません。

カサつきはじめた子供の肌は、どのように扱ってあげると改善に向かいやすくなるのか?”洗うこと”に関して、よく頂くご質問にお答えするかたちで解説しましょう。

質問1–子供の肌がカサカサしている時、お風呂には毎日入れますが、洗浄剤を使って洗うべきか悩みます。

肌がカサついている時は、とにかく洗う頻度を減らしましょう。◯◯成分だから良い、△△成分だから悪いということではなく、洗浄剤というものを使って洗う頻度をできるだけ減らすことが重要です。お湯につかるだけでも肌表面の汚れの大半は落ちます。そのため、さらにそこから洗浄剤を使って”洗う”というプロセスが加わると、どうしても肌のカサつきを助長してしまいます。子供は、大人のようにメイクをしたり、髪にスタイリング剤をつけたり、排気ガスの中を自転車やバイクに乗って通勤することもないので、毎日お風呂に入ったからといって必ずしもボディソープや石けんでゴシゴシ洗う必要はありません。

質問2–子供の肌には、洗浄剤を使わなくてOKということでしょうか?

秋冬に、少し外で遊んで、あとはお部屋で過ごす、という状況であれば洗浄剤は使わなくても問題ないと思います。子供の肌は新陳代謝が高く、大人の肌より皮膚常在菌も多く棲んでいます。その自浄作用と、湯船につかる、あるいはシャワーで流すだけでも、十分に清潔さは保てます。衛生的なことを気にしすぎて、なにがしかボディソープや石けんの類で洗って清潔にしなくては…といったことを繰り返しているうちは、カサカサ肌からの脱出は難しくなっていきます。実は洗浄をそこまでしなくても、肌表面では皮膚常在菌が余分な皮脂と混ざり合った油系の汚れを分解し、水でも洗い落とせるようなものに変換してくれるのです。

例えばスパゲティのようにオイルソースなどを混ぜて食べた後の食器は、確かに洗剤を使わないとべたつきが落ちません。しかし、ざるそばを食べた後は、水で流すだけでも食器はすっきりきれいになりますよね。それと同じで、油溶性のものがそのまま肌にくっついているなら、それを浮き上がらせる洗浄剤が必要になりますが、皮膚常在菌を介して油溶性のものが水溶性に変えられることで、洗剤はほぼ不要で水で流すだけでもすっきり落ちるわけです。

質問3–運動をして汗をかいたり、泥んこになって洗浄剤を使いたい場合はどんなものが良いのでしょうか。

汚れだけをきちんと落として肌に負担をかけにくい洗浄剤というと、アミノ酸系の洗浄剤がおすすめです。アミノ酸は肌にもともと存在する成分なので、生体親和性が高く低刺激。洗浄力もマイルドなので、1回の洗浄で肌に必要な潤いを根こそぎ落としてしまうようなリスクも低いと思います。子供は汗をかく量が大人より多いのですが、髪を洗う頻度についても、肌への負担を考えると毎日でなくて良いと思います。匂いの問題との兼ね合いで頻度を決めると良いでしょう。もちろん髪を洗う時も、できるだけ洗浄力のマイルドなシャンプーで洗ってあげるのが良いと思います。

質問4–子供の肌の保湿ケアは、朝晩すべきでしょうか?肌を守るため、日中は紫外線ケアもしたほうが良いですか?

お風呂上がりは、肌から水分が蒸散しやすくなっているので必ず保湿ケアをしましょう。朝は、まだ肌がカサついているようであれば保湿剤を塗ってあげる程度で良いのではないでしょうか。紫外線対策については、ひとつの判断材料として、外に出た時に地面に落ちる自分の影が、自分の身長よりも長い時はそこまで人体にとって害のある紫外線量が降り注いでいないので、日焼け止めはマストではありません。夏場でも、早朝に散歩に出た時などは、まだ自分の影は自分の身長より長く、そこまで陽射しは強くありません。日中に向かって徐々に日が昇ってくると、どこかのタイミングで影が自分の身長より短くなり、その時には陽射しもじりじりとした感じになっているはずです。

秋冬は、つねに日が斜めから射しており、自分の身長よりも影が長くなります。紫外線アレルギーがあるとか、つねに肌を真っ白な状態に保つ必要がない限りは、秋冬に子供たちの肌に日焼け止めを塗らずとも、とくにトラブルが進むといったことは起こらないでしょう。もちろん、紫外線吸収剤を使っていないノンケミカルのものであれば、秋冬の日中に使っていたとしてもとくに問題はありません。

ただ、秋冬の紫外線は、日焼け止めを塗らないと皮膚ガンのリスクが高まるというほどではありません。どちらかというと、かゆみの予防という意味からも、グリセリンのような水を抱える保湿成分が配合されたローションやゲル、クリームなど、通常の保湿剤によるケアを優先するのが良いのではないかと思います。


Profile
茂田正和
スキンケアアドバイザー・化粧品開発者・日本皮膚科学会正会員
日東電化工業ヘルスケア事業部にて開発責任者を務めるほか、バランスケアアソシエーションを主宰する。皮膚科医、ヘアメイクアップアーティスト、美容ライター、料理研究家とともに真の美容のためのライフスタイルを提案するセミナーやワークショップを運営。

検索語を上に入力し、 Enter キーを押して検索します。キャンセルするには ESC を押してください。

トップに戻る