質問1–洗顔料のpH値によって、肌への作用がそんなに変わるんですか?
はい、健康的な肌のpHバランスは、つねに弱酸性に保たれるようになっています。年齢や性別、環境などによってわずかな差異はあるものの、基本的には人種を問わず共通しています。なので、弱酸性の洗顔料であれば肌の環境をほぼ変えることなく洗えますよね。しかし、皮脂も含めてメイクなど、油分の汚れを落とすという点ではアルカリ性の洗浄成分のほうが、洗浄力が高くなります。弱酸性の洗浄成分だと、油分がしっかり落としきれない場合があります。
質問2–アルカリ性の洗浄成分が配合された洗顔料は使わないほうが良い?
アルカリ性の洗浄成分が配合された洗顔料を使ったほうが良いのは、ウォータープルーフの日焼け止めやファンデーションなど、いわゆる水をはじくような油性の化粧品を使った日です。それらがきちんと落ちず残ってしまうと、肌は酸化ダメージを受けてしまいます。肌への負担はやや大きくはなりますが、クレンジングとともにアルカリ性の洗浄成分が配合された洗顔アイテムを使ったほうが確実にしっかり落とせます。
質問3–固形石けんが好きなのですがどんな肌タイプに向いているのでしょうか?
固形石けんは、洗浄成分がアルカリ性の洗顔アイテムの代表格です。基本的に固形タイプの石けんのほとんどは、アルカリ性です。成分表示を見た時に、水酸化カリウムや水酸化ナトリウム、石けん素地が配合されているようでしたら、その洗顔料のpH値はアルカリ性と思っていただいて間違いないでしょう。アルカリ性の洗浄アイテムは質問1でお答えしたように油分を落とす作用があるので、ニキビをはじめとする皮脂トラブルのお悩みを抱えている肌向きといえます。
皮脂の分泌が過剰になる夏場や、クリームなどを使うと、毛穴に皮脂が詰まってコメド(角栓)ができやすい方、詰まった皮脂が酸化して起こる毛穴の黒ずみや、アクネ菌が増殖して発生する赤ニキビなどに悩みがちな方は石けん洗顔がおすすめです。
質問4–年齢とともにくすみが気になって…どんな洗顔アイテムを選ぶべき?
固形石けんに含まれるアルカリ性の洗浄成分には、ごくマイルドなピーリング作用があります。年齢を重ねると代謝が下がり、肌のターンオーバーのリズムが遅くなってくるため角質が肥厚しやすくなります。これが、年齢を重ねるとくすみやゴワつきを感じやすくなる理由です。なので、毎晩の洗顔に石けんを取り入れることで角質が肥厚しにくくなり、透明感のある肌を保ちやすくなります。
質問5–アトピーをはじめ乾燥に悩む肌に必要な洗顔アイテムを教えてください。
皮脂の分泌力が弱く、夏場でもカサついてしまう肌は、弱酸性の洗顔フォームで洗うことをおすすめします。とくに、アレルギーやアトピーなどで、肌が荒れやすい、炎症が起きがちな敏感肌の方は、アミノ酸系の洗浄成分が配合された洗顔フォームだとより穏やかに洗えます。アトピーに悩んでいる方の肌のpH値を測定すると、本来は弱酸性のはずが、アルカリ性に傾いていることが多いそうです。
アルカリ性に傾いた肌は皮膚の常在菌のバランスが崩れてしまっているので、洗顔の段階から皮膚の常在菌バランスが健やかに整いやすい弱酸性に導いてあげましょう。また、肌が荒れていなくても、皮膚が薄く乾燥しやすい方は穏やかとはいえピーリング作用のある石けんよりは、弱酸性の洗顔フォームを使っていただいたほう良いと思います。
質問6–皮膚が薄く乾燥しやすいけど石けんでの洗顔が好きな場合はどうすれば?
皮脂浮きよりも乾燥のほうが悩みで、肌が弱い方でも「夏場は石けん洗顔のさっぱり感が好き…」という方もいらっしゃると思います。そして、最初にお好みで選んでOKとお伝えしたのには理由があります。アルカリ性の石けんを使った場合も、すぐに化粧水をちゃんとつけることで肌表面のpHバランスは正常な弱酸性に戻っていきます。ただし、肌が弱く荒れやすい方は、無香料、無着色、アルコールフリーといった低刺激処方の化粧水を選ぶことが前提です。
また、前回のコラムでもお話しましたが、洗う頻度は肌の健やかさにとってとても重要なポイントです。洗浄成分を肌にのせての洗顔は、夜だけで十分。とくに肌が乾燥しやすい、あるいは敏感肌の方は、夏場であっても、朝の洗顔は水やぬるま湯で肌表面の汗やほこりをすすぎ洗いするのみに留めましょう。
夜に洗顔と保湿をして肌を整えたのに、朝起きた時に肌がすごく乾いていたりテカっていたりというのは、うるおいバランスが崩れているサインです。ストレスが原因ということもありますが、化粧品選び、その使い方を見直すことで改善できることも多く、その第一歩は洗顔です。さっぱりした使用感だけにこだわらず、自分の肌状態をよく観察してから洗顔料を選んでみてくださいね。