ナノ粒子は×? 石けん落ちは◯? 日焼け止めのよくある疑問を解決!

日焼け止めのよくある疑問を解決!

前回は、『UV対策の必要性と、肌にやさしい日焼け止め選びの基本』についてお話しました。今回は、「肌が弱い方には、ノンケミカルの日焼け止めがおすすめ」というところからさらに一歩踏み込んだお話しをしましょう。日焼けをしっかり防げる高SPFと肌へのやさしさ、両方を追求したい方にとって「これって実際のところ、どうなのですか?」とよく聞かれる2つのご質問にお答えします。

質問1–透明感やSPFが高いものに使われるナノ粒子って、肌に良くないものなの?

肌の弱い方は、化粧品の成分や処方まで細かくチェックされる方も多いと思います。その中でも、最近は「ナノ粒子って、ダメなんですよね?」というご質問を頂くことがあります。ナノ粒子は、髪の毛の太さの約10万分の1程度まで微粒子化された粒子を指します。ナノ技術を使って、酸化亜鉛や二酸化チタンといった紫外線散乱剤をナノ化すると、粒子が非常に細かくなるため透明感が高まり、日焼け止めの白浮きを防ぎ、フィット感も良くなる、というメリットがあります。

しかし、それらが毛穴や角質の隙間などから、肌の細胞内に入り込んでしまうのではないか?そして、酸化亜鉛や二酸化チタンは活性酸素を発生するので、肌に吸収されると悪影響なのではないか、と捉えられるようになったようです。これは、開発者の目線からすると、一部、誤解がある、といえます。

ナノ技術が使われていても形状によって影響力に差が

まず、前回もお話したように、最近では酸化亜鉛や二酸化チタンといった紫外線散乱剤は、肌に直に触れないようコーティングされています。さらに、ノンケミカル系の日焼け止めの中でも、ゲル状やクリーム状になっているものに関しては、そこまでナノ粒子が肌に入り込むことを恐れる必要はないと思います。というのも、ゲルやクリーム状になっているものの多くは、高分子(肌に簡単に吸収されないほど分子量の大きい)ネットワークを形成するため、その中に分散している紫外線吸収剤が肌から吸収されてしまうことは、考えにくいんです。

ただし、ノンケミカルで、パウダータイプの日焼け止めがナノ粒子だとしたら、肌というよりはむしろ、鼻や口から吸収してしまう、呼吸器系に影響を及ぼす可能性はあるかもしれません。ナノ粒子だからすべて×ということではなく、ナノ粒子がどのように使われているかまで、見極めることが大切ですね。

質問2–日焼け止めを落とす時はやっぱりクレンジングを使うべき?

確かに海やプールで使うような、ウォータープルーフかつ高SPFの日焼け止めは、肌に残らないようクレンジングできちんと落とす必要があります。ただ、そういった日焼け止めは、肌への負担を考えても日常使いには向かないと思います。スキンケアのプロセスの中でも、さまざまな外的刺激から肌を守っているバリア機能に、もっともダメージを与えるのは”洗う”ことだからです。

日常使いの日焼け止めは石けんで落とせるものを選んで

ノンケミカルな日焼け止めの中には、石けんのみで落とせるものがかなりたくさんあります。その時の石けんや洗顔料は、合成界面活性剤フリーなど、肌のバリア機能を壊しにくい、低刺激のものを選ぶことが大切です。また、夜は日焼け止めをきちんとオフする必要がありますが、朝の洗顔はすすぎ洗いだけで十分です。

朝は石けん洗顔、夜はクレンジングと石けんのW洗顔、といったサイクルを続けていくと、バリア機能の最前線ともいえる、肌を守ってくれている常在菌などが洗い流されたまま、元に戻りにくくなります。その結果、少しずつ肌に備わっているバリア機能が低下していき、それまでは普通に使えていたものにも肌が反応して荒れたりするようになってしまいます。

1日の終わり、外から戻った後の肌には、日焼け止めも含めたメイク、季節によっては花粉、そして空気中の汚染物質なども付着しています。さまざまな外的刺激が肌の細部に入り込まないようにするには、はじめに水で肌をよくすすいでから、クレンジングなり、石けんなりを使うようにするのも1つのポイントです。

バリア機能が壊れて敏感肌になってしまった場合には、1つ目の質問にあったようなナノ粒子の吸収というリスクも、より現実的なものになってしまいます。肌が弱い、荒れやすい、バリア機能が弱っているようなサインを感じた方は、ぜひ明日からクレンジングや洗顔の仕方も見直してみてください。

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